登山靴について
登山靴は山の装備の基本だ。靴によって気分が変わるので、良い靴は良い登山につながる。比較的高価で材質とサイズが多いので選ぶのは難しい。
かたち。昔の日本の靴は大雑把だった。当時の日本の靴は下駄に皮をかぶせたような作りで、靴底が足と同じ形をしていた。その後、ヨーロッパの進んだ靴が入ってきた。新しい靴は、靴底が足底よりぜんぜん幅狭。靴全体が足全体を包むような感じでカルチャーショックを受けた。靴作り数百年と百年の差だ。ただ、ヨーロッパ人と日本人では足の形が全然違うので、ヨーロッパの靴はそのままでは日本人は使えない。日本人は幅広、甲高。今は、ヨーロッパの靴の技術を日本人用に合わせている時代。そのため、ブランドごとに、差が大きい。
サイズ。1980年頃までは、登山靴は使っているうちに足になじんでくる、と言われてて実際そうだった。今でもそう思っている人が多い。その頃の登山靴は皮だけで出来ていて、長さ以外はある程度伸びてくれたのだった。最近の登山靴は、丈夫なナイロン製が増えて、皮製でもゴアテックスなどが貼ってあって、作ったときの形がくずれないようになっている。そこで、最初に合わなかったらまず、だめ。そればかりか、最初に合っているように見えても、だめなことが多い。今は、どこかあたっていたらまずだめ、と思ったほうが良い。特に、幅と甲高に注意。日本人の足は幅広甲高だが、ヨーロッパの靴は幅狭で甲が低い。日本人用足型を使っている、と謳っているが信用しないほうが良い。現地のよりはましらしいが、大抵、幅だけ合わせていて、高さまでは日本人向きにまではなっていない。
それと、同じ会社でも製品ごとに足型が違っていることがある。さらにさらに、同じ会社でも年度によって足型が違うことがある。そういうわけで選ぶときは慎重に。今度は大丈夫だろう、とワンサイズ上のを買って失敗したことがある。
とにかく、大きめの靴を買って、靴下で調整するのが賢い。岩山以外は多少大きめでも大丈夫。
登山は歩くスポーツなので、靴が合わなかったらスポーツにならない、年のせいか靴が小さくて頭が痛くなる、というのを経験した。
底の硬さ。荷物の重さにより、最適の靴底がある。足にあわせて靴底がしなるほうが歩きやすい。空身なら運動靴。5キロくらいならやわらかめの底のハイカットのトレッキングシューズ、10キロくらいなら固めの底のトレッキングシューズ。15キロを超えたら、がちがちの底のいわゆる重登山靴が良い。逆に、重い荷物のときに靴底が柔らかいと、地面のでこぼこが直に伝わってきて、足がいたい。
荷物が重いときに靴が柔らかいと、足をひねって捻挫しやすい。
雨の日に行動したければゴアテックス付きが良い。
冬山の場合は、底が固くて、ワンタッチアイゼンがつくいわゆる冬用登山靴が良い。冬は下が雪なので、靴底が硬くても歩きやすい。逆に、氷のところがあるので、底が柔らかいと怖い。
底の材質とパターン。材質とパターンによって、すべりが違う。ヨーロッパのすべりテストの上位ランクの靴は本当に滑らない。そういう靴は、でこぼこが深めで出っ張りが柔らかい感じがする。それが岩に吸い付くのだと思う。溝が細かいのは小石が詰まり易い。これも困る。広告に、小石排除機能付きと謳っているのはOK.パターンが悪い物の中には、濡れた路面ですべるのがある。これは沢の平らな岩でもすべるので、最低。はいているうちに滑らなくなるものおあるが、ずっと滑りっぱなしのものもある。雨が少ないせいか、アメリカ製の靴にすべる底が多い。店の人に聞けば教えてくれる。
夏用の最初は、GT Hawkinsのが良い。サイズは日本人向きだし、ゴアテックスでも安価だ。作りが安直だ、と言われて実際そうかもしれないが、1,2シーズンは十分持つ。このブランド、たしかエベレスト初登頂のヒラリー卿の靴を作った。そちらは皮製だけど。
合わせ方。まず、本番と同じ厚さの靴下を履いて靴を履く。いすにj座って、かかとを思いっきり床にぶつけて、かかと側に足を寄せる。そのとき、つま先が1、2センチくらい空いてる状態が必要。その後で、つま先側に足を寄せる。その時に、かかとと足の間に人差し指が下まで入る事が必要。こうして長さは合う。その時に、小指や親指の外側があたったり、足の甲が当たったりしていたら幅が合っていない。長さを1サイズ上にしてみる。そこで、当たりがなくなったらそれを選ぶ。それでも当たりがなくならなかったら、足型があっていない。あきらめて別の靴を選ぶ。
甲皮の材質。ナイロンが軽くてよい。皮は寿命が長いが重たい。ゴアテックスは効果てきめん。雨でも水が入らない。湿気はたまらないので快適だ。皮プラスゴアテックスも同じ効果がある。
ゴアテックスの靴は、防水の手間がかからないので、準備が楽だ。
ゴアテックスのない、ナイロン靴は晴れていればOK.夏なら雨が降っても、濡れるだけでOK.ただし、靴下の予備は多めに持っていく必要がある。秋は濡れると足が冷えるので、行動しないほうが良い。同行者がみんなゴアテックスだとつらいものがある。冬はアイゼンとの関係があるので、ナイロンはあまりいない。ナイロン製でワンタッチアイゼンの装着できるものはまだ聞いたことが無い。夏用のナイロン製は保温機能が悪そうだ。
冬靴にはプラスティックブーツがある。硬くて歩きにくそうなので、使ったことが無い。コメント不能。寿命が短いという。